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登記できないって何?未登記の空き家とまず押さえるべきこと

登記とは、不動産(土地または建物)について、法務局の登記簿に「誰が所有者か」「建物がどこにあってどういう構造か」などを公に記録する手続きです。

未登記の空き家というのは、建物について「建物表題登記」や「所有権保存登記」がなされていなかったり、名義が不明確であったりするものを指します。これにより以下のような問題が生じます

  • 所有権を第三者に主張できない(民法177条の「登記をもって対抗要件」)ため、売買や融資・担保設定ができない。

  • 固定資産税や公共料金などは支払い義務があっても、「誰のものか」が登記簿上で明らかでないため手続きが煩雑。

  • 相続・遺産分割・相続登記義務化に伴い、未登記であると手続きが遅延したり、過料が科される可能性あり。

とはいえ、未登記=全く使えないというわけではなく、活用の道はあります。以下に具体的な5つの方法を紹介します。


未登記の空き家活用方法5選

登記できない・登記していない空き家をどのように活用できるか、法的リスクを抑えつつ実行可能な方法を5つご案内します。


方法1:専門の買取業者に売却する

未登記の建物を持っていて「自分で登記が難しい」「活用の見込みが薄い」と感じるなら、未登記建物を前提に扱う専門の買取業者に相談・売却する手があります

メリット

  • 登記手続きから買取まで一括で対応してくれる業者があり、手間を大きく減らせます。

  • 解体・名義調整などの法務コストを自分で負担しなくて済むケースが多い。

デメリット・注意点

  • 売却価格は通常の相場より低めになることが多い。

  • 未登記であることを前に提示しなければならないため、買主側の信頼を得る必要がある。

  • 登記が完了していない物件は融資がつかず、購入希望者が限られるため、買い手が見つかるまで時間がかかることも。


方法2:建物を解体して土地のみ活用または売却する


建物が老朽化している・用途がほとんどない・建築構造に問題がある場合は、建物を解体し、土地のみを活用または売るという選択肢があります。解体後には「家屋滅失届」等の手続きが必要です。

メリット

  • 建物の維持管理コストや危険性を回避できる。

  • 更地の方が売却しやすい・購入希望者の幅が広がる。

  • 土地利用の自由度が増す。たとえば駐車場、貸地、菜園などに利用可能。

デメリット・注意点

  • 解体費用がかかる。状態によっては高額に。

  • 更地にすると固定資産税の優遇(住宅用地の特例等)が外れる場合があり、税額が上がることがあります。

  • 解体後の申告・届け出を怠ると、固定資産税を払い続けるリスクあり。


方法3:賃貸または貸し家(DIY可能な形で活用)


建物が使える状態であれば、登記なしでも“実質的に貸す”ことを考える方法です。例えば個人同士の賃貸、民間の賃貸業者・空き家活用業者と契約する形。DIYや改修を許す条件を付けて借り手を募集する。法的な整備や保証に注意が必要です。

メリット

  • 利用・収益化を早く始められる可能性。

  • 貸すことで空き家になっている間の管理コストを抑えられる。

  • 地元の移住希望者などにマッチすると価値が高まることも。

デメリット・注意点

  • 登記がないため契約時に信頼性を証明する書類が乏しく、借り手とのトラブルリスクが高くなる。

  • 借り手が住宅ローンを使うなど、借り手側の条件で断られる可能性。

  • 借り手との賃貸契約書に未登記である旨・将来的な登記責任などを明記し、保障を取ることが重要です。


方法4:リフォーム・民泊など短期間の活用


未登記物件をフルに新築住宅として使うのは難しくても、リフォームして宿泊用途(一棟貸し・民泊)や体験型宿泊施設としての活用を検討できます。ただし、営業許可や用途変更が必要な場合があります。

メリット

  • 観光や地域体験を求める人をターゲットにできれば高収益になる可能性。

  • 建物を生かしながら地域の魅力を発信できる。

デメリット・注意点

  • 民泊や宿泊業営業には、保健所・消防・用途地域等の条件が整っているかが必須。

  • 未登記であることが問題になる場合、建築確認・用途変更などがスムーズにできない可能性あり。

  • 保険や貸出責任など、利用者側の安全を確保するコストがかかる。


方法5:所有者不明土地管理制度や国庫帰属制度を活用する


所有者が不明だったり相続人が確定していない未登記の空き家については、近年制度が整備されつつあり、「所有者不明土地管理制度」「相続土地国庫帰属制度」などを検討できます。これにより管理者選任、公共団体への帰属などの道が開けることがあります。

メリット

  • 法的な管理責任を整理できる。

  • 空き家・未登記の状態で放置するリスク(所有者不明地帯化・固定資産税・安全性の問題など)を抑制できる。

  • 公共性ある用途や地域貢献につながる可能性あり。

デメリット・注意点

  • 条件が厳しい場合が多く、制度利用には申請手続き・審査が必要。

  • 帰属を選ぶときには管理費・維持費などが要求されることがある。

  • 全ての未登記物件がこの制度の対象になるわけではなく、自治体や状態によって異なる。


未登記物件を活用する際の共通チェックポイント

どの方法を選ぶにしても、以下を確認しておくとトラブルを避けられます

  • 建物が本当に未登記かどうか:登記事項証明書(建物表題登記の有無)を法務局で確認。

  • 所有者・相続人・権利関係の整理:戸籍や住民票等を確認。明確な所有者がいない場合の対処法を検討。

  • 建物の現状調査:構造・老朽度・耐震・インフラ(上下水道・電気・ガス)などを把握。

  • 用途・地域の法規制確認:用途地域・建築基準法・消防法・保健所規定など、用途変更や活用形態によって許可が必要になること。

  • 税金・維持管理コスト:固定資産税・都市計画税・保険・清掃などのコストを見積もる。


結論:まずは「自分の物件の状況を把握」→無理のない活用を選ぶ

未登記の空き家を使いたいと考えたとき、無理をしても後でトラブルになることが多いです。まずは「登記状態」「建物の状態」「利用したい用途」「権利関係」を整理し、それから上記の活用案の中から自分に合った方法を選ぶのが安心です。


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