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放置すると倍増する!? 空き家の固定資産税リスクと対策

近年、少子高齢化や都市部への人口集中により、日本全国で空き家が急増しています。総務省の調査によると、全国の空き家率はすでに13%を超え、今後も増加する見込みです。このような背景の中で、空き家を所有することはただの管理負担だけでなく、放置することで思わぬコストがかかることをご存知でしょうか?

特に大きな問題となるのが、固定資産税の増加です。空き家を適切に管理せず放置することで、固定資産税が倍増するリスクがあります。今回は、そのリスクの内容と、増税を避けるための具体的な対策について詳しく解説します。

空き家を放置すると固定資産税が増加する理由

1. 住宅用地特例の適用外になる

通常、居住用の建物がある土地は「住宅用地の特例」により、固定資産税や都市計画税の課税が軽減されています。具体的には、以下のような優遇措置が取られています。

小規模住宅用地(200㎡以下の部分):評価額の1/6に減額

一般住宅用地(200㎡を超える部分):評価額の1/3に減額

しかし、空き家が「特定空き家等」に指定されると、この優遇措置が適用されなくなり、税額が大幅に増加することになります。

2. 特定空き家等の指定

「特定空き家等」とは、以下のような状態にある空き家のことを指します。

倒壊の恐れがある状態:建物が老朽化していて、崩壊の危険がある。

衛生上有害な状態:ゴミが放置され、悪臭や害虫の発生源になっている。

景観を損なう状態:外観が著しく劣化し、周囲の景観に悪影響を与えている。

その他周辺環境への悪影響:犯罪の温床となり得る状態など。

これらの条件に該当すると、市区町村から「特定空き家等」に指定され、所有者に対して改善命令が出されます。改善が行われない場合、最終的には「住宅用地の特例」が解除され、固定資産税が最大6倍にまで増加する可能性があります。

3. 政策の背景と自治体の対応

空き家問題は全国的に深刻化しており、各自治体も対策に乗り出しています。「空家等対策特別措置法」が2015年に施行され、特定空き家等に対する罰則規定や課税強化が定められました。自治体によっては、空き家の所有者に対して固定資産税の軽減を取り消すといった厳しい措置を講じているところもあります。

特定空き家に指定されるリスクとは?

1. 行政からの通知と指導

特定空き家に指定されると、まず行政からの通知が所有者に届きます。この通知では、空き家が特定空き家等に該当する旨と、改善を求める内容が記載されています。

この時点では改善を求めるだけで、具体的な罰則は発生しません。しかし、改善が行われない場合、さらに厳しい指導が行われ、最終的には罰金や強制撤去の措置が取られる可能性があります。

2. 固定資産税の優遇措置解除

前述の通り、特定空き家に指定されると「住宅用地の特例」が適用されなくなり、固定資産税の軽減措置が取り消されます。これにより、税額が大幅に増加し、所有者にとっては大きな経済的負担となります。

3. 解体や修繕費用の負担

行政から改善命令が出された場合、所有者は空き家の解体や修繕を行う必要があります。これにかかる費用も少なくありません。特に老朽化が進んだ建物の場合、解体費用は数十万円から数百万円に上ることもあります。

固定資産税増加を防ぐための具体的な対策

1. 空き家の活用方法を見つける

空き家を放置せず、活用することで固定資産税の増加を防ぐことができます。例えば、以下のような活用方法があります。

賃貸物件として貸し出す: リフォームや修繕を行い、賃貸物件として活用することで、家賃収入を得ることができます。

シェアハウスや民泊として活用: 需要が見込めるエリアであれば、シェアハウスや民泊として運用するのも一つの方法です。

地域のコミュニティスペースとして提供: 空き家を地域の住民が利用できるスペースとして提供することで、社会的な価値を生み出し、地域貢献にもつながります。

2. 定期的な維持管理を行う

空き家が老朽化し、特定空き家に指定される前に、定期的な維持管理を行うことが重要です。以下のような管理方法を実施することで、空き家の状態を良好に保ち、税金の増加を防ぐことができます。

定期的な清掃: 外周や敷地内のゴミや雑草を取り除く。

建物の点検: 屋根や壁、基礎部分などの劣化状況を定期的にチェックし、必要に応じて修繕する。

通風と換気: 定期的に窓を開け、室内の換気を行うことで湿気やカビの発生を防ぐ。

3. 自治体の補助金制度を活用する

多くの自治体では、空き家の活用や解体、リフォームに対して補助金制度を設けています。これらを活用することで、空き家の管理費用や解体費用を軽減できます。例えば、「空き家再生補助金」や「解体費補助金」などがあり、条件を満たせば数十万円から数百万円の補助を受けることができます。

4. 空き家管理サービスの利用

自分で管理が難しい場合は、空き家管理サービスを利用するのも一つの方法です。専門業者が定期的に巡回し、清掃や点検を行ってくれるため、所有者の負担を大幅に軽減できます。サービスの費用は月額1万円程度からで、空き家の状態や場所によって異なります。

空き家を手放すための選択肢

1. 売却の検討

空き家を所有し続けることにリスクを感じる場合、早めに売却を検討することも選択肢の一つです。特に都市部や観光地など、需要が見込めるエリアであれば、リフォームを行って市場価値を高めることで、スムーズな売却が期待できます。

2. 賃貸として貸し出す

空き家を賃貸物件として貸し出すことで、固定資産税の軽減を維持しながら、家賃収入を得ることができます。ただし、賃貸に出す際には、物件の状態や周辺環境を考慮し、適切な管理を行うことが求められます。

3. 家族や親戚に譲渡する

家族や親戚の中で空き家を活用できる人がいる場合、譲渡することも選択肢の一つです。相続や贈与の手続きを行い、所有権を移転することで、空き家の管理負担を減らすことができます。