空き家の所有権移転登記とは?売却後に必要な手続きを解説
空き家を売却するときは、売買契約を結んで代金を受け取るだけでなく、所有者を買主へ変更するための登記手続きが必要です。
この手続きを「所有権移転登記」といいます。
相続した実家や長年使用していない空き家を売却する場合、登記の流れや必要書類、費用の負担について疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
所有権移転登記が適切に行われていないと、買主への名義変更が完了せず、売却後の権利関係に影響するおそれがあります。
この記事では、空き家の所有権移転登記の基本から、売却後に必要な手続き、費用、注意点までわかりやすく解説します。
空き家の所有権移転登記とは?
所有権移転登記とは、不動産の所有者が変わったことを登記記録に反映させる手続きです。
空き家を売却した場合は、売主から買主へ所有権が移ったことを登記します。
不動産の所在地や地番、所有者などは登記記録に記載されています。
所有権移転登記を行うことで、買主が取得した所有権を登記上で公示できるようになります。
売買契約を結んだだけでは登記は完了しない
空き家の売却では、一般的に売買契約を締結した後、決済と物件の引き渡しを行い、所有権移転登記を申請します。
売買契約を締結しただけでは、登記簿上の所有者は自動的に変更されません。
契約上の取り決めと、登記記録上の名義変更は別の手続きです。
売主と買主の間で所有権が移転する時期は、契約内容などによって異なります。
一方、登記名義を変更するには、所定の申請手続きを行う必要があります。
売却後のトラブルを防ぐためにも、契約時に決済日や引き渡し日、登記申請の段取りを確認しておきましょう。
所有権移転登記は誰が申請する?
売買による所有権移転登記は、原則として売主と買主が共同で申請します。
実際の取引では、司法書士に登記申請を依頼するケースが一般的です。
司法書士は、登記に必要な書類や本人確認情報などを確認し、申請手続きを進めます。
売主は登記識別情報や本人確認書類などを準備し、買主は登記に必要な情報や書類を用意します。
具体的な必要書類は、不動産の状況や当事者の事情によって異なります。
売主と買主のどちらか一方だけで手続きを進めるのではなく、双方が必要な書類を準備し、連携して申請することが大切です。
空き家を売却した後に必要な手続きの流れ
空き家の所有権移転登記は、売却に伴う決済や引き渡しとあわせて進めるのが一般的です。
事前に全体の流れを把握しておくと、書類の不足や日程のずれを防ぎやすくなります。
1. 登記内容と所有者を確認する
最初に、売却する空き家の登記内容を確認します。
登記事項証明書などを取得し、現在の所有者や不動産の表示、抵当権などの権利関係を確認しましょう。
特に、相続した空き家では、亡くなった親や親族の名義のままになっている場合があります。
その場合は、相続登記が完了しているかを確認する必要があります。
また、住宅ローンを完済していても、抵当権の抹消登記が済んでいなければ、登記記録に抵当権が残っていることがあります。
売却前に名義や権利関係を確認しておくことが、所有権移転登記を円滑に進めるための第一歩です。
2. 必要書類を準備する
登記内容を確認したら、売主と買主それぞれが必要書類を準備します。
売主側では、一般的に次のような書類や情報が必要になります。
- 登記識別情報通知書または従来の登記済証(権利証)
- 印鑑証明書
- 本人確認書類
- 固定資産評価証明書など、不動産の評価額を確認できる書類
- 司法書士への委任状(代理申請を依頼する場合)
買主側では、住民票など、登記申請に必要な書類を準備する場合があります。
ただし、必要書類は登記の内容や申請方法によって異なります。
住所や氏名が登記記録と現在の情報で異なる場合には、別途、変更登記などが必要になることもあります。
書類の有効期限や取得方法についても、事前に司法書士へ確認しておくと安心です。
3. 決済と引き渡しを行う
必要書類の準備が整ったら、売買契約で定めた日に決済を行います。
決済では、買主が売買代金を支払い、売主が必要書類を引き渡すのが一般的です。
住宅ローンの残債がある場合などは、金融機関との調整や抵当権抹消登記の準備も必要になることがあります。
司法書士は、当事者の本人確認や必要書類の確認を行い、登記申請が可能な状態であることを確かめます。
決済当日は、代金の支払いと登記申請の準備が連動するため、書類の不足や記載内容の不一致がないようにしましょう。
4. 所有権移転登記を申請する
決済などの手続きが整ったら、法務局へ所有権移転登記を申請します。
申請は、書面で行う方法のほか、一定の条件のもとでオンライン申請を利用する方法もあります。
司法書士へ依頼した場合は、必要書類を確認したうえで代理申請を進めてもらえます。
申請内容に不備があると、補正などの対応が必要になる場合があります。
手続きが完了すると、登記記録に買主の所有権が反映されます。
登記が完了した後は、登記事項証明書などで名義が変更されていることを確認すると安心です。
所有権移転登記にかかる費用
空き家の所有権移転登記では、主に登録免許税や司法書士への報酬などが発生します。
売却代金だけでなく、登記に必要な費用も把握しておくと、決済時の資金計画を立てやすくなります。
登録免許税
登録免許税は、所有権移転登記などを申請する際に納める税金です。
売買による所有権移転登記では、原則として不動産の固定資産税評価額を基準に税額を計算します。
土地と建物では適用される税率が異なる場合があり、土地の売買による所有権移転登記には、一定期間、軽減税率が適用されます。
例えば、土地については、2029年3月31日までに受ける売買による所有権移転登記に対して、原則2.0%の税率を1.5%に軽減する措置があります。
建物については、原則2.0%ですが、一定の住宅用家屋に該当する場合には軽減措置が適用されることがあります。
ただし、空き家を取得する場合に住宅用家屋の軽減措置が適用されるかどうかは、取得後の使用目的や建物の要件などによって異なります。
登録免許税は売買価格そのものではなく、原則として固定資産税評価額を基準に計算する点に注意しましょう。
司法書士への報酬
所有権移転登記を司法書士へ依頼する場合は、登録免許税とは別に報酬が発生します。
報酬額は依頼先や手続きの内容によって異なります。
売買による所有権移転登記だけでなく、住所変更登記や抵当権抹消登記などを同時に依頼する場合は、追加費用が発生することもあります。
また、登記識別情報を紛失している場合や、相続登記が未了の場合などは、通常よりも確認や手続きに時間がかかる可能性があります。
依頼する前に、どの手続きが報酬に含まれているのか、登録免許税などの実費がいくらかかるのかを確認しておきましょう。
登記費用は誰が負担する?
売買による所有権移転登記の費用は、一般的に買主が負担する取り決めとされることが多いものの、当事者間の契約内容によって異なります。
一方、売主側で必要になる住所変更登記や抵当権抹消登記などの費用は、売主が負担する取り決めとされることが一般的です。
費用負担については一律に決まっているわけではないため、売買契約の内容を確認することが大切です。
契約を締結する前に、登記費用の負担者や、別途発生する費用について不動産会社や司法書士に確認しておきましょう。
空き家の所有権移転登記で注意したいポイント
空き家の売却では、通常の不動産売買と同様に所有権移転登記が必要ですが、長期間使用していないことや相続によって、手続きが複雑になる場合があります。
相続登記が済んでいない空き家は先に名義を確認する
相続した実家を売却する場合、亡くなった方の名義のままでは、通常、そのまま買主への所有権移転登記を進めることはできません。
原則として、まず相続登記を行い、相続人の名義に変更する必要があります。
2024年4月1日からは相続登記が義務化されており、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが原則として求められています。
正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
また、相続登記が完了していても、相続人が複数いる場合には、誰が空き家を取得するのかを確認しなければなりません。
売却を予定している場合は、登記名義だけでなく、相続人の間で売却について合意できているかどうかも確認しましょう。
登記上の住所や氏名が現在の情報と異なる場合
登記記録に記載されている所有者の住所や氏名が、現在の情報と異なる場合にも注意が必要です。
例えば、空き家を取得した後に引っ越しをしたものの、住所変更登記を行っていないケースが考えられます。
このような場合は、所有権移転登記の前提として、住所や氏名の変更登記が必要になることがあります。
なお、不動産の登記名義人は、住所や氏名などに変更があった場合、原則として変更があった日から2年以内に変更登記を申請する義務があります。
正当な理由なく義務に違反した場合は、5万円以下の過料の対象となる可能性があります。
売却の直前になって住所や氏名の不一致が判明すると、追加の書類準備が必要になることがあるため、早めに登記内容を確認しておきましょう。
登記識別情報や権利証を紛失している場合
空き家を売却しようとした際に、登記識別情報通知書や従来の権利証が見つからない場合もあります。
登記識別情報や権利証を紛失しても、それだけで所有権を失うわけではありません。
ただし、売却に伴う登記手続きでは、別の方法による本人確認などが必要になる場合があります。
例えば、司法書士などの資格者代理人による本人確認情報の提供や、事前通知制度を利用する方法があります。
手続きの方法によって必要な準備や日程が異なるため、書類が見つからないとわかった時点で、司法書士に相談することが大切です。
空き家活用TEAMRは、全国の空き家を価値ある不動産に変える集団です
空き家を売却する際には、売買契約だけでなく、所有権移転登記や必要書類の準備など、さまざまな手続きが必要です。
相続した実家や長期間使用していない空き家では、名義や権利関係を確認することから始める必要がある場合もあります。
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