BLOG

特定空き家の認定を決めるのは誰?認定基準や対策などを網羅的に解説

「自分の所有する空き家が、知らないうちに『特定空き家』にされたらどうしよう…」

「一体、誰がどのような基準で『特定空き家』を決めているのだろう?」

空き家を所有する方であれば、このような不安を一度は感じたことがあるかもしれません。放置すれば税金が上がり、最悪の場合は強制的に解体されるという話を聞き、気が気でない方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、その最も根源的な疑問「特定空き家の認定は誰が決めるのか?」という問いに明確にお答えするとともに、認定の基準、段階的なプロセス、そして最も重要な「認定されないための対策」まで、専門家の視点から網羅的に解説します。

結論:「特定空き家」の認定・判断を行うのは市区町村です

まず、最も重要な結論からお伝えします。

あなたの空き家が「特定空き家」やその”予備軍”である「管理不全空家」に該当するかどうかを調査し、最終的に指導・勧告・命令といった行政措置を判断するのは、その空き家が所在する市区町村(市役所や町役場など)です。

これは「空家等対策の推進に関する特別措置法」という国の法律に基づいており、地域の実情を最もよく把握している基礎自治体である市区町村に、その権限が与えられています。

国の画一的な基準で一方的に決まるわけでも、所有者の知らないところで密かに認定されるわけでもありません。法律に則り、地域の安全を守る責任を持つ市区町村が、段階的な手続きを踏んで判断を下す、ということをまずはご理解ください。

「特定空き家」とその”予備軍”に認定される2つの基準

市区町村は、どのような状態の空き家を「問題あり」と判断するのでしょうか。法律では、問題の深刻度に応じて2つの基準が設けられています。

基準1:特定空き家(特に危険・有害な状態)

「特定空き家」は、放置することが極めて危険・有害であり、周辺の生活環境に深刻な悪影響を及ぼしていると判断された、最も深刻な状態の空き家です。具体的には、以下の4つのいずれかに該当する場合です。

  1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
    (例:建物が大きく傾いている、基礎に深刻な亀裂がある、屋根や外壁がいつ崩落してもおかしくない)
  2. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
    (例:ゴミ屋敷と化し、害虫やネズミが大量発生している、強烈な悪臭を放っている)
  3. 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
    (例:窓ガラスが全て割れ、落書きだらけで廃墟のようになっている)
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
    (例:敷地内の木が隣家や道路に大きくはみ出している、不審者が容易に侵入でき犯罪の温床になっている)

基準2:管理不全空き家(特定空き家の”予備軍”)

2023年の法改正で新設されたのが、この「管理不全空き家」です。これは、上記の「特定空き家」になる一歩手前の、”予備軍”と位置づけられる状態です。

  • 定義: 適切な管理が行われていないため、このまま放置すれば特定空き家に該当するおそれが高い状態。
    (例:雑草が生い茂り始めている、雨どいが壊れて雨水が垂れ流しになっている、瓦が数枚ずれ落ちている)

この「管理不全空家」の段階で、行政からの指導・勧告の対象となり、税金が上がるリスクが生じた点が、法改正の最も大きなポイントです。

認定までの流れは?ある日突然ではない行政のステップ

市区町村が、ある日突然あなたの家を「特定空き家」に認定し、罰則を科すことはありません。所有者に改善の機会を与えるため、法律に則って以下のような段階的な手続きを踏んでいきます。

ステップ1:調査と助言・指導

すべての始まりは、市区町村による調査です。職員による定期的なパトロールや、近隣住民からの「あの空き家が危ない」といった通報をきっかけに、現地調査が行われます。

その結果、「このままでは管理不全空家や特定空き家になるおそれがある」と判断されると、まずは所有者に対して「適切に管理してください」という助言や指導が行われます。これは、行政からの最初の警告サインであり、この段階で誠実に対応すれば、問題が大きくなることはありません。

ステップ2:勧告(実質的な”認定”と税金アップの合図)

助言や指導をしてもなお、所有者が適切な対応を取らず、空き家の状態が改善されない場合、市区町村はより重い行政指導である「勧告」を行います。

この「勧告」こそが、あなたの空き家が「管理不全空家」または「特定空家」であると行政が実質的に”認定”したことを意味する、極めて重要なタイミングです。

そして、この勧告を受けた時点で、土地の固定資産税を最大6分の1に軽減する「住宅用地の特例」が解除され、翌年から税金が大幅に上がることになります。

ステップ3:命令と行政代執行(最終手段)

「特定空き家」に対しては、勧告にも従わない場合、さらに強制力の強い「命令」が出されます。これは、「期限内に建物を解体しなさい」といった具体的な措置を命じるもので、法的拘束力を持ちます。

そして、この命令さえも無視した場合、行政は最終手段として、所有者に代わって強制的に建物を解体する「行政代執行」を行うことができます。

「特定空き家」に認定されるとどうなる?3つの重いペナルティ

市区町村から「勧告」や「命令」といった措置を受けると、所有者は以下のような深刻な不利益を被ることになります。

  1. 固定資産税が最大6倍になる可能性
    前述の通り、「勧告」を受けた時点で住宅用地の特例が解除されるため、土地の固定資産税が跳ね上がります。
  2. 最大50万円の過料
    「特定空き家」に対する改善命令に違反した場合、最大で50万円の過料(行政罰)が科されることがあります。
  3. 強制解体と高額な費用請求
    行政代執行が行われた場合、その解体費用(建物の規模によっては数百万円)は、後日すべて所有者に請求されます。これを支払えない場合は、財産の差し押さえを受ける可能性もあります。

最も重要な「認定されないための対策」

ここまで読んで、大きな不安を感じた方もいるかもしれません。しかし、事前に対策を打てば、このような最悪の事態は十分に避けられます。最も重要なのは、以下の3つのポイントです。

1. 定期的な管理を徹底する

最低でも年に数回は現地を訪れ、敷地内の草刈り、室内の換気、郵便受けの整理、建物に破損がないかのチェックなど、最低限の管理を行いましょう。「誰かが見てくれている」状態を保つことが、劣化や不法侵入を防ぐ第一歩です。

2. 行政からの通知は絶対に無視しない

もし市区町村から「助言・指導」に関する通知が届いた場合は、決して無視せず、誠実に対応してください。すぐに対応できない事情がある場合でも、まずは行政の担当者に連絡し、相談することが重要です。最初の段階でコミュニケーションを取ることで、事態の悪化を防ぐことができます。

3. 管理が負担なら、根本的な解決策を検討する

遠方に住んでいる、高齢で管理が難しいなど、物理的に管理が困難な場合もあるでしょう。その場合は、空き家を所有し続ける以外の選択肢を真剣に検討する時期に来ています。売却して身軽になる、賃貸に出して収益化する、更地にして土地として活用するなど、専門家と相談しながら、根本的な解決を目指しましょう。

市区町村から”認定”される前に、プロの目で現状診断しませんか?

「うちの空き家は、客観的に見て大丈夫なのだろうか?」
「行政から指導が入る前に、先手を打って対策をしたい」
「誰に相談すれば、売却や賃貸など最適な解決策がわかるんだろう?」

このようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度、私たち「空き家活用TEAMR」にご相談ください。

TEAMRは、全国の空き家を価値ある不動産へと変えるプロフェッショナル集団です。私たちは、市区町村がどのような点をチェックするのか、という行政の視点を熟知しています。あなたの空き家をプロの目で診断し、「管理不全空家」や「特定空き家」に認定されるリスクがどの程度あるのかを客観的にお伝えします。

その上で、リスクを回避するための具体的な管理方法のご提案から、売却査定、賃貸プランの作成、解体業者の選定まで、あらゆる選択肢の中からあなたにとって最適な解決策をワンストップでご提供します。

行政から”レッドカード”を突きつけられる前に、専門家と一緒に未来のための最善の一手を考えましょう。ご相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。