「共有名義のまま、どうしていいか分からない」
空き家の相談の中で、とても多い言葉です。
相続が終わったあと、名義が共有のままになり、 売ることも、貸すことも、話が進まない。
気づけば誰も使わず、ただ時間だけが過ぎていく――。
今回TEAMRとして現場に立った、 茨城県水戸市・元吉田町のこの家も、 まさにそんな状況から始まりました。
けれど、この家は決して「負」ではありませんでした。
人が住み、使われ、想いが積み重なってきた家。
そして今、次の世代へとつながる可能性を、 静かに待っている家でした。
元吉田という「暮らしやすさ」が詰まった町

まずお伝えしたいのは、この立地の魅力です。
50号バイパスまで徒歩2分。
小学校・中学校はいずれも徒歩8分。
図書館、運動場、公園までは徒歩7分。
ホームセンターや家電量販店へは車で5分ほど。
徒歩圏内にはコンビニや飲食店も点在しています。
車移動が前提となる水戸市において、主要道路へのアクセスが良いことは大きな強みです。
それでいて、一本路地に入ると驚くほど落ち着いた住宅街が広がっています。
利便性と住環境、その両方がそろったエリアだと感じました。
大通りの先に現れた、かわいらしい家

大通りから細い路地に入った瞬間、白い壁とレンガ色のコントラストが目に入ってきました。
築50年と聞いていましたが、正直なところ、その年数を感じさせません。
一方で、最初に体感したのは現場ならではのリアルです。
駐車場に面する道路はやや狭く、車を入れるのに何度も切り返しが必要でした。
運転が得意とは言えない私は、 「これは無理かもしれない」と一度諦めかけ、 今度は出られなくなって焦る場面もありました。
それでも何とか車を停めたとき、 この家と真正面から向き合う準備ができたような気がしました。
空き家の課題は、図面や写真だけでは分かりません。
TEAMRが必ず現場に足を運ぶ理由は、こうした体感にあります。
玄関から伝わる、この家の人柄
門から玄関へ続く、小ぶりなアプローチ。
その先に、明るい茶色に塗られた玄関扉がありました。
派手ではありませんが、どこか温かみがあります。
この家の性格が、玄関だけで伝わってくるようでした。

扉を開けて中を拝見。残置物はすべて撤去されていました。
これまで多くの空き家を見てきましたが、 物が無いだけで、家の印象は大きく変わります。
「この家で、どんな暮らしができるだろう」 そうした想像が、自然とできる空間になっていました。
水回りに残る、昭和のかわいらしさ

浴室に入ると、ピンク色のタイルが目に飛び込んできます。
今ではあまり見かけない色合いですが、不思議と古さは感じません。
トイレは昔ながらの造りで、 腰壁は黄色のタイル、床には緑と青の丸いモザイクタイルが敷き詰められていました。
洗面台は汚れが目立っており、こちらは交換予定とのことでした。

すべてを新しくするのではなく、 直すところと活かすところを見極める姿勢が印象的です。
効率や新しさだけでは測れない価値が、確かにここに残っています。
ダイニングキッチンと続き間の和室

ダイニングキッチンは、いかにも昭和らしい雰囲気です。
ただし蛇口は比較的新しく、 この家が空き家になる直前まで、きちんと使われていたことが分かります。
コンロ周りの花柄タイルも印象的でした。
取材時は修繕中で木材が置かれていましたが、 ハウスクリーニングと修繕が完了すれば、印象は大きく変わるはずです。

隣には和室が二間続いています。
畳はきれいで、日当たりも良く、 家族が集まる風景が自然と想像できました。


二階に広がる、懐かしさのある空間
玄関を入ってすぐの階段を上ると、 和室と洋室が一部屋ずつ配置されていました。

和室は畳も障子も状態が良く、 畳の緑と壁・障子の白のコントラストが美しく感じられます。
押し入れの襖には淡い花柄が描かれており、 照明も含めて、住まい手のセンスが伝わってきました。

洋室には、学校の床を思い出させる正方形のフローリング。

天井の柄やスイッチカバーの花柄も相まって、 どこか懐かしく、ノスタルジックな空間でした。
ドアに取り付けられたアコーディオンカーテンを見ながら、 この部屋がどのように使われていたのか、思わず想像してしまいます。


外回りから見える、時間と課題
外に出ると、石油給湯器とホームタンクが設置されていました。
どこか懐かしい、あの独特のにおいが記憶を呼び起こします。

庭は広く、車1台分のスペースと外部物置があります。
井戸があったと思われる丸いフタも二か所残っていました。

一方で、二階の木製雨戸の戸袋は塗装が剥がれています。
日当たりの良さゆえの劣化でしょう。

良い点も、課題も、どちらも正しく見ること。
それがTEAMRが大切にしている姿勢です。
この家に流れていた時間
この家は、両親が亡くなったあと、セカンドハウスとして使われていました。
そのため、空き家になってからはまだ1年ほどです。
室内の随所に残る「かわいらしさ」は、 住んでいた方の暮らしぶりを想像させてくれます。
家には、必ず物語があります。
この家もまた、次の誰かにその物語を手渡そうとしているように感じました。

相続と共有名義という現実
今回の相談者は息子さんでした。
名義は共有となっており、 今後どうすればよいのか分からず、相談に至ったそうです。
相続後、 「誰に相談すればいいのか分からないまま時間が過ぎてしまう」 これは、空き家相談で非常によく聞く声です。
売却、賃貸、維持管理。
どの選択肢も正解になり得るからこそ、迷ってしまいます。
TEAMRは、その最初の迷いの段階から寄り添う存在でありたいと考えています。
現場の周辺で感じたこと 〜空き家の予備軍と、これから〜
物件の周辺を歩いてみると、 すぐに気づくことがありました。
今は人が住んでいるものの、 高齢化や家族構成の変化によって、 近い将来「空き家になるかもしれない家」が点在しているのです。
空き家は、ある日突然生まれるものではありません。
暮らしの延長線上に、静かに現れます。
この町には、小学校や中学校があり、 公園や図書館も徒歩圏内にあります。
子どもたちの声が聞こえる環境です。
だからこそ思いました。
空き家を「負の遺産」にしてはいけない。
この町で育つ子どもたちに、 ただ問題だけを残すのではなく、 「大人たちがどう向き合ったか」という姿勢を残したい。
空き家をきっかけに、 人がつながり、 新しい使い方や居場所が生まれ、 ワクワクが次の世代へとつながっていく。
TEAMRが目指しているのは、 まさにそうした循環です。
TEAMRで現場に立つということ
TEAMRは、単なる不動産の集まりではありません。
実際に現場に足を運び、 建物を見て、 所有者の話を聞き、 背景ごと受け止めて考えます。
空き家を「早く処分するもの」として扱うのではなく、 「次につなぐための存在」として向き合う。
今回の元吉田の空き家も、 TEAMRのメンバーが現場に立つことで、 次の選択肢が見えてきました。
TEAMRに加入するということは、 こうした現場に関わり、 一つひとつの空き家と丁寧に向き合うということです。
次の物語をつなぐ仲間へ
この家は、まだ終わっていません。
次に住む人、使う人によって、 新しい物語が始まります。
もし、 空き家を「数字」や「物件」としてだけでなく、 人の暮らしや想いごと引き継ぎたいと考えているなら。
TEAMRには、その想いを形にできる現場があります。
空き家の未来を、現場から一緒につくっていきませんか。
TEAMRは、次の物語をつなぐ仲間を待っています。
TEAMR 運営サポートメンバー 鈴木 裕子