
「この家、売れないですよね…」
空き家の相談を受けていると、この言葉を耳にすることがありませんか?
立地や築年数だけが理由ではありません。
市街化調整区域という法的な条件や、インフラの問題など、一見するとハードルが高く感じられる物件も多くあります。
しかし、TEAMRはそこで諦めません!
今回訪れたのは、茨城県ひたちなか市稲田にある築54年の木造2階建住宅です。
所有者様が幼い頃から育った思い出の実家。
売却も検討されましたが、市街化調整区域という条件などもあり、最終的には「貸す」という選択になりました。
この記事では、
・実際に現地を訪れて見えてきた室内や庭の様子
・残置物から感じた暮らしの痕跡
・修繕が必要な箇所
・所有者様の想い
など、現場のリアルをお伝えします。
さらに、二級建築士・宅地建物取引士であるTEAMRサポートメンバー Yuko が、
現場で実際に確認したポイントをもとに、市街化調整区域や浄化槽など、空き家活用に欠かせない知識を分かりやすくお伝えします。
「空き家を地域の資産として活かしたい」
「空き家ビジネスに携わりたい」
「現場で役立つ知識を身につけたい」
と考えている方にとって、実践的なヒントが詰まった内容です。
ぜひ最後までご覧ください。
「田舎だから道は広い」は思い込みだった

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所在地:茨城県ひたちなか市稲田
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JR常磐線「佐和駅」徒歩約13分・車約3分
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木造2階建
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築年月:昭和46年12月
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間取り:6DK
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延床面積:約128.75㎡
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敷地面積:約369.94㎡
数字だけを見ると、ごく一般的な築古住宅に見えるかもしれません。
しかし、実際に足を運ぶと印象は大きく変わりました。
現場へ向かう途中。
広い道路を走っていたのに、突然細い生活道路へ。
「えっ、この先?」
と思うほど道幅が狭い…!
「田舎だから道は広いでしょ。」
と安易な気持ちで現場に向かったら、完全にしてやられました。
現場は、周りに田んぼと住宅が広がるのどかな場所。
こうした昔からある地域では、狭い道がそのまま残っていることも多いんですよね💦
空き家を見るときは建物だけではなく、道路状況も重要なチェックポイントになります。
車は入れるのか。
引っ越しはできるのか。
将来リフォームするときに工事車両は入れるのか。
現場に来なければ分からないことが本当にたくさんあります。
真夏の草刈りが教えてくれた「管理」の大変さ

到着すると、すでに業者さんが作業中でした。
梅雨の晴れ間。
気温も高く、立っているだけでも汗が流れるほど…💦
庭には刈った草が山のように積まれていました。
切った枝も大量。
軽トラックの荷台もいっぱい💦
空き家管理をしているとよく分かりますが、雑草は待ってくれません。
春から夏にかけては驚くほど成長します。
ほんの数か月放置するだけで、人の背丈近くまで伸びるからびっくりです。
現場で汗を流す業者さんを見ながら、
空き家を維持するって大変だなぁ、と改めて実感しました。
なかなか開かない玄関

業者さんの邪魔にならないよう玄関へ。
昔ながらの引き戸です。
鍵を回す。
開かない。
もう一度。
開かない。
「あれ?」
少し焦ります。
何度か試して、ようやく開きました。
築年数が経った住宅では、このようなことも「あるある」です。
湿気や建具のゆがみなどで動きが悪くなることがあります。
しかし扉が開いた瞬間、その家の雰囲気が一気に伝わってきました。
来客の多い家だったのか
玄関はタイル張り。
約2帖ほどあり、とても広々しています。
そして目に入ったのが、散らばるスリッパ。
10足ほど残っていました。
家族が多かったのか。
親戚がよく集まっていたのか。
近所の人が遊びに来ていたのか。
この家には、人が集い、にぎやかな時間が流れていたのだろうと感じました。
空き家を取材していると、こうした生活の痕跡から、その家族の暮らしをついつい想像してしまいます。
生活感がまだ残る室内

玄関ホールを抜けるとトイレ。
空き家になってそれほど時間が経っていないとのこと。
カラフルなトイレマットやスリッパ。
何気ないトイレグッズにも、住んでいた方の好みや人柄が表れているように感じます。
誰かが昨日まで暮らしていたような気配が残っていました。
洗面所の汚れは想像以上で、正直なところ衝撃を受けました。
壁には黒ずみも広がり、長い年月を感じさせます。

一方で、お風呂は昔ながらの在来工法。
紫色のタイルが印象的で、住んでいた方の好みやこだわりが感じられる空間でした。
広さも十分あり、丁寧に使われていたことが伝わります。
おひつが残るダイニングキッチン

8帖ほどのダイニングキッチン。
部屋の中央には不用品がまとめられていました。
その中の箱をひとつだけオープン。すると、
おひつが入っていました。
状態も良く、
「これはまだ使えそう!」
そう思いました。
空き家には価値のある物が眠っていることがあります。
所有者様にとっては不要でも、必要とする人がいる。
それも空き家活用の一つの可能性ですよね☺
縁側っていいですよね

ダイニングを抜けると、二間続きの和室。
そして縁側。
やっぱり、縁側っていいですよね。大好きです。
障子越しに入る柔らかな光と風。
おばあちゃんの家!って感じがたまらないです。
ここで食べるスイカは格別なんだろうなぁ。
照明も昔ながらのデザインで風情があります。
欄間も立派でした。
「これぞ日本家屋。」
そんな言葉が自然に浮かびます。

畳にはシミもありました。
長年暮らしてきた証なのかもしれません。

新品ではないけれど、この家にしかない味わいを感じました。
応接室という贅沢

最近の住宅ではほとんど見なくなった応接室。
じゅうたん敷き。
ソファ。
テーブル。
お客様を迎えるためだけの部屋。
今ではとても贅沢!
昔は来客を大切にする文化がありました。
そんな時代背景まで感じられました。
和室のなかに

二階には3部屋ありました。
和室6帖が2部屋。
洋室6帖が1部屋。
その中でも変わった間取だなぁと思ったのが、
和室の部屋の中にトイレがあること。
「この部屋を使っている人には便利だけど、他の部屋の人は、使いづらいよね…。」と思いました。
和室では、障子は破れ、
壁紙も一部剥がれ、
畳にはシミ。
ですが、改修すれば十分使える、日当たり抜群の部屋です。
洋室は「仕事部屋や子ども部屋として十分活用できそう!」と感じました。

家の裏に広がる、思わず立ち止まる景色

2階を一通り見終えたら、お次は庭散策!
庭には大きな物置がありました。
車も余裕で停められる広さがあります。
ですが、奥まで入っていく勇気がありませんでした。
残置物はまだたんまり残っていて、何が出てくるか…怖かったのです、すみません💦
物置と家の脇を抜け、裏庭へ。
足元の雑草をかき分けて進もうとすると、その瞬間、
カエルがピョーン!と。思わず変な声が出てしまいました。
しかし、その先には一面の田んぼ。
鮮やかな緑。
風で揺れる稲。
紫色のアジサイ。
以前は、この庭を丁寧に手入れしながら、この景色を楽しんでいたのだろうと思いました。

今では雑草が高く伸びています。
それでも景色の美しさは変わりませんでした。
自然だけではない、暮らしやすさもある
自然豊かな場所ですが、生活はとても便利です。
徒歩5分にスーパー。
小学校まで徒歩約8分。
中学校まで徒歩約15分。
郵便局や金融機関も佐和駅周辺にそろっています。

徒歩約10分圏内には内科・小児科もあり、総合病院へも車で約15分。
さらに国道6号へ出やすく、水戸市方面・日立市方面へのアクセスも良好です。
休日には国営ひたち海浜公園や酒列磯前神社、阿字ヶ浦海水浴場、那珂湊おさかな市場、大洗磯前神社やアクアワールド茨城県大洗水族館へも30分以内で行くことができます。

自然と利便性。
その両方を兼ね備えた住環境、きっと気に入る人が出てくると感じました。
二級建築士・宅建士として気になった「市街化調整区域」と浄化槽
今回の物件で特にお伝えしたいポイントがあります。
それが市街化調整区域です。
市街化調整区域とは、行政が無秩序な市街地の拡大を防ぐため、開発を抑制している区域です。
そのため、新築や建替え、用途変更などにはさまざまな制限があり、売買や活用を検討する際には専門的な知識が必要になります。
また、市街化調整区域では公共下水道が整備されていない地域も多くあります。

その場合、生活排水やトイレを利用するためには合併処理浄化槽が必要になります。

今回の物件では浄化槽に関する工事が必要でした。
これまで排水を通していたルートが他人の土地を経由していたため、敷地内で新たに排水経路を整備し直さなければならない状況です。


このような内容は、不動産広告だけでは見えてきません。
現場を見て、法令を確認し、建物を調査して初めて分かることなのです。
修繕費約200万円。それでも活用する理由
今回予定されている修繕内容は、
・畳、障子張り替え
・水回りの修繕
・2階押入れ撤去
・止水栓交換
・浄化槽関係工事
現時点で約200万円の見込みです。
決して小さな金額ではありません。
それでも、この家は活用されます。
契約期間は10年、月額8,000円で借り受けます。
空き家は放置すると価値が下がります。
しかし、適切に手を加えれば、この家を必要としている人へつないでいくことができます。
売れないから終わりではない
所有者様は60代の女性。
本当は売却を希望されていました。
しかし、条件が合わず売却には至りませんでした。
そこで選ばれたのが、「貸す」という方法です。
この家の価値を必要としている人へつなぐ。
それがTEAMRの目指す空き家活用です。
一軒一軒に合った活用方法

空き家には、建物だけではなく、家族の歴史があります。
子どもの頃の思い出。
家族団らん。
親を見送った日。
季節ごとの庭の景色。
そうした人生が積み重なっています。
だからこそ、単純に「売る」「壊す」だけではない選択肢が必要なのだと思います。
TEAMRは、不動産・建築・地域・専門家をつなぎながら、一軒一軒に合った活用方法を考えています。
現場を見て、法律を確認し、修繕費を試算し、所有者様の想いを聞き、その先に住む人の暮らしまで考える。
それがTEAMRの空き家活用です。
TEAMRが目指していること
今回の物件は、一見すると条件の厳しい空き家でした。
市街化調整区域。
浄化槽工事。
修繕費約200万円。
築54年。
それでも、この家を必要としている人につなげられると、私たちは考えています。
私たちは、全国にこうした空き家が数多くあることを知っています。
「難しいからできない。」
ではなく、
「どうすれば活用できるか。」
その答えを探し続ける仲間がTEAMRです。
空き家問題は、一人では解決できません。
建築、不動産、行政、司法、福祉、地域。
それぞれの専門性がつながることで、一軒の空き家を活用する道が見えてきます。
今回の取材でも、そのことを改めて実感しました。
空き家は、古いから価値がないのではありません。
どう活かすかを考えることで、新たな可能性が見えてきます。
もしあなたも、「売れない」「貸せない」「活用できない」と言われた空き家に可能性を見出したいと思うなら、TEAMRには同じ想いを持つ仲間がいます。
空き家を「負動産」で終わらせない。
地域に必要とされる資産へ。
その一歩を、一緒に歩んでいきませんか。
TEAMR 運営サポートメンバー 鈴木 裕子